会社について

私は、とある会社で働いている。

大企業とまでは言えないが、知っている人は知っている、それなりにイケてる中小企業である。

私はこの会社に入りたかった。そして、運良く入社させていただくことができた。

 

四月から、社会人生活が始まった。

朝、決まった時間に行き、決まった仕事をやり、夜は長く残っていれば偉いような、いわゆる日本のサラリーマンとはこういうものなのだという生活である。

私はどうしてもこんなルーティーンに馴染めないでいる。

 

消去法で、自分としてはマシな業界を選んだつもりである。しかし、実際私のやりたいことなんか、そこにはなかった。

話を聞いていると、みんなそんなものは特にないようなのである。

 

何が面白くてみんな働いているのだろう。

給料のために、家族を養うためにだろうか。

その給料とやらのために消えているあなたの大切な時間はそれで良いのか。

人生の大半を会社に費やしている、その行為は、本当に有意義なものなのだろうか。

金を得ることは、若い月日を会社に捧げてまで大切なことなのか。

わからなかった。

 

忙しければ、生活が苦しければ、そんなこと忘れられると、ある人に言われた。

しかしそうだとしたら、それこそもっと不幸ではないのか。

目先の安定のためにあくせく働いて、考えることを忘れ、生きるため、食べるために働く。それは知能を持った人間の生き方と言えるだろうか。

シマウマを一日中追いかけ続けるハイエナと何が違うのか。

 

人生の先輩たちは、会社のために頑張ってもらわなくちゃと言うが、会社とはなんだろう。

社長のものだろうか。

社長のために頑張っているのか。

 

いや、社長はほとんど遠くからしか拝見したことがなく、おそらく私の名前も覚えてはいない。そもそも、今の社長は設立者でもなんでもない。会社とはなんの関係もなく、どっかからやってきた優秀とされる人間である。

社長もまた、過去にはどこぞの会社の中で誰かに使われてきた。

トップになった今も、全てが自分の思い通りにいくはずもなく、会社のために色々なものを犠牲にしているはずなのだ。

だとすると、会社は社長のものではない。

 

会社は誰のものなのだろう。

そこに貢献することで、誰が得をしているのだろう。

 

月々何十万ともらったところで、私の若さは取り戻せない。

こうやって考えた結果、私はどうしても会社を辞めたくなってしまうのだ。